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【7選】2016年面白かった本&漫画

早くも2016が終わろうとしているので、「2016年読んで面白かった本と漫画」でも振り返ってみようと思います。

 

小説、新書、漫画などのジャンル問わず、あくまで「2016年に読んだもの」(2016年に発売ではなく)。

 

今年は映画が豊作だったので、本や漫画から受けたインパクトは例年より薄いものではありましたが。「この世界の片隅に」は良かったです。

●「完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込」(若林正恭

 満足度★★★☆☆

 オードリー若林が、ダ・ヴィンチで連載していた、人見知り全開のコラム。こじらせすぎた自意識ととことん向き合う中で見えてきたものを、淡々と綴っている。

 

社会の理不尽さ、どうしても納得できないこと、普通の社会生活を送っているだけでも沢山あるが、芸能界は一般常識なんて通じない特殊ルールがもっとあって大変なんだろうなぁと思う。

 

しかし、売れない時期もそれなりにあり、「お金はないけど時間はある」という社会人生活を送っていたこともあってか、一般の社会生活に通じる、とても身近な話題が多い。スタバで恥ずかしくて「グランデ」と言えない、とか。

 

月日を経るほどに、オードリーとして売れていき、段々と丸くなって社会に溶け込んでいく様子も面白い。どれだけ若い時や貧しい時に尖っていても、年を取ると人はいずれ丸くなっていくんだなぁ。

 

普段は相方の春日のことをポンコツといじることが多いけど、「自分に自信を持っていて堂々としていて、どんな時も自分が幸せだと疑わないから揺るがない」とストレートに評していたのも印象的。なんだかんだで相方をリスペクトしてるんだなぁ。

●「ダイナー」(平山夢明

満足度★★★★☆

ダイナー (ポプラ文庫)

ダイナー (ポプラ文庫)

 

 ミステリー小説では、「殺人」が起きる。「殺人=死」だとすると、「生」は「食」なんじゃないかと思う。人が死ぬ話なのに、食の描写が豊かだと、人の生と死が凝縮されているな、と感じる。

 

ハサミ男」はグルメな殺人鬼が登場したが、本作はダイナー(定食屋)が舞台だ。殺し屋向けの会員制ダイナーなので、当然殺人は日常茶飯事で、残酷な描写のオンパレードだ。豊富な語彙と独特な比喩は、殺人描写だけじゃなく、料理描写にも活かされる。「究極の6倍」と称されるハンバーガーは、その説明を読んでいくだけで唾液が出てくる。腹が減る。

 

と思った途端、人が死ぬ。食べる、殺す、死ぬの繰り返し。

 

おまけに主人公は平凡で頭の足りない少女オオバカナコ(大莫迦な子)。何から何までデタラメな人間しか出てこない。でも、ページを捲る手が止まらない。

 

物語の最後、ダイナーでウェイトレスとして雇われたオオバカナコの成長に気付く。そりゃあ、あんな滅茶苦茶な場所で働いていれば、シャバで何が起こってもおままごとにしか見えないだろう、と誰もが納得できる。そんな物語。

●「ダンガンロンパ霧切」(北山猛邦

満足度★★★☆☆

ダンガンロンパ霧切 1 (星海社FICTIONS)

ダンガンロンパ霧切 1 (星海社FICTIONS)

 

 推理アクションゲーム「ダンガンロンパ」のスピンオフ作品。本格ミステリー作家北山猛邦が、ロンパファンとミステリーファン両方を楽しませることを意識して書いている。

 

本格ミステリーの世界では一見使い古されたようなトリック(あえて、ミステリーファンおなじみのあるあるネタを使っているきらいもあるが)も、魅力的なキャラクターたちが動くとまた違った味が見えてくる。

 

あらかじめ、犯人から「殺人にかかるコスト(舞台、凶器、トリックと、それにかかる費用)」が探偵たちに提示されるという、挑戦状システムも面白い。それは同時に読者への挑戦でもあり、その挑戦状の内容から、これから起こるであろう殺人とその裏側を推理していく。

 

北山はかなり筋金入りのロンパファンなのではないかと思わざるをえないほど、霧切さんの描写に気合いが入っている。

●「自殺うさぎの本」(アンディライリー)

満足度★★★☆☆

自殺うさぎの本

自殺うさぎの本

 

 かわいいウサギの絵と、物騒なタイトル。

 

一見どこにでもありそうなウサギの絵本かと思いきや、ありとあらゆる方法で自殺を試みるブラックユーモアが炸裂する。その方法も、どこかおかしい。

 

トースターの中に入る(耳が飛び出てしまっている)、ボーリングのピンに紛れている(やはり見切れる耳)、時にはピタゴラスイッチのような凝った装置を自作するウサギまでいる(時間差で装置が動くので、1枚の絵からその後を想像する必要がある)。

 

不謹慎なフリップ大喜利のような絵本だ。

なぜこのウサギはこんなに死にたがっているのか。死にたがっている割に、生き生きとしているのはなぜか、自殺方法を考えること自体が楽しくなっているのではないか等、なぜを考え出すとキリがないが、「自死しようと懸命に頭を働かせるウサギたちの前向きな態度」という訳の分からない姿を見ると、いろんなことがどうでもよくなってくる。

●「響~小説家になる方法」(柳本光晴

満足度★★★★☆

響~小説家になる方法~ 1 (ビッグコミックス)

響~小説家になる方法~ 1 (ビッグコミックス)

 

 4巻までの感想。

15歳で芥川賞&直木賞のWノミネートという快挙をなす天才文学少女が主人公。この時点で「漫画みたいな漫画」だが、主人公が天才で、寡黙で、暴力的で、とにかくデタラメなのも漫画的。何から何までこの世に起きるはずのないハリウッド映画のような作品で、逆に「これはフィクション」と割り切れ、ささいな疑問は気にならなくなる。

 

完全に「エンタメ」に徹しているので、爽快感、読後感が良い。

同級生だけでなく、プロの小説家、編集者、周りの全ての大人たちが響の非凡な才能とエキセントリックな性格に惹かれ、有無を言わさず巻き込まれていく様は、主人公補正などという生ぬるい言葉では足りないレベルだ。主人公に障害といえる障害もなく、無双状態が続いていく。

 

無双の果てに何があるのか。この勢いはどこまで続くのか。作者が描こうとしているものが何なのかまで気になってしまう、そんな作品。

●「まもって守護月天! 解封の章」(桜野みねね

満足度★★★★☆

まもって守護月天!  解封の章 1 (BLADE COMICS)
 

エニックスのお家騒動や、作者の体調の問題もあり、しばらく休載していた「まもって守護月天!」 が、主人公たちの3年後の姿を描く新章となって帰ってきた。

 

中学生だった主人公たちは、高校生に。絵柄も今風に変わった。作者の話では、今の流行に合わせて髪型を柔らかくしたそうだ。

 

初代は、90年代「月刊少年ガンガン」の空気(パプワくん、突撃パッパラ隊魔法陣グルグルなど)を多分に含んだドタバタラブコメ風味だったが、今は恋愛に重きを置いたしっとりとした雰囲気になった。主人公たちも成長している。エゴを押しつけるようなキャラクターも、3年の間にすっかり丸くなり、聞き分けがよくなってしまった。3年でここまで成長するものなのか。いや、中高生の3年はでかい。あまりにでかい。初代から読んでいる人からすると、各キャラ(特にルーアン、かおり)成長っぷりに驚く。

 

主軸となるのは、相変わらず太助とシャオの関係性。今のこの時代でも、案外こんな制限だらけの純愛が成立するものなのだなぁと、ゆっくりゆっくり進む二人の関係をのんびり眺めていると、なんとなく当時を思い出す。

●「エクレア」(仲谷鳰ほか)

満足度★★★★☆

エクレア あなたに響く百合アンソロジー

エクレア あなたに響く百合アンソロジー

 

「やがて君になる」(仲谷鳰)を手がける電撃が、かなり本腰を入れて百合アンソロジー本を出した。完成度が高い。「百合って何だ?」という人には、「とりあえずこれ読んどけ」で通じそう。

 

思春期の女の子特有の複雑な感情は、もちろん恋愛だけじゃない。独占欲、嫉妬、劣等感など、なんとも言えない感情が沢山ある。これらの感情の根っこには、何かしらの「嫉妬」があるんじゃないかと思う。優越感も、劣等感も、憧れすらも。

 

女子の学生生活は、グループ行動や、村八分などがあり、とにかく面倒くさい。初っぱなから始まる仲谷鳰さんの作品は、クラスで1人ぼっちの天才ピアノ少女と、それを気にかける社交的な少女の話。

 

ピアノさえあれば寂しくない少女と、なぜかそれが気にくわなくなり、彼女が怪我をしてピアノを弾けなくなればいいと思ってしまう少女。彼女が怪我をすることを日々妄想するも、いざ本当に怪我をしてしまった少女を前に、罪の意識でどうしようもなくなってしまう少女。ささいなプライドを傷つけられただけでも、関係がよじれる面倒な女子の世界。

 

もちろん、いろんな関係が描かれているのでネガティブなものだけではないが、良くも悪くも「あぁ、とにかく女子は面倒くさい」というのが身に染み渡る1冊。